奥林:
ヤンマーさんでは、グローバル展開を見越してロゴを一新するなど一層海外を視野に展開されているそうですね。
西川:
昨年100周年を迎えた弊社では、次の100年を世界で勝ち残り、更なる飛躍を遂げるため、大きな変革を必要としております。グローバルでの成長に向けて変革していく弊社の企業イメージや本質的価値を戦略的に、また正確に世の中にお伝えするため、ヤンマーブランドのプレミアム化を加速させることになりました。
奥林:
私たちが持っている、昔のヤンマーのイメージとはだいぶ変わったなと感じました。
西川:
今までのヤン坊マー坊だと親しみやすさはありますが、何の企業なのかはよく伝わらない。ヨーロッパでは、ヨットのエンジンで高い評価を得ていますし、その技術を前面に打ち出すことで、世界で勝負をかけようということなんです。
奥林:
やはり、海外にはそれだけの需要があるということですか?
西川:
国内需要が伸びない中、さらなる成長を求めるには海外しかないんですね。しかし、逆に言えば、ほとんどの分野で海外には伸びしろがある。他国でも同じクラスのエンジンを造る企業はありますが、やはりまだまだ世界にはメイド・イン・ジャパンが受け入れられているというのが実感です。
奥林:
日本製というのは、信頼が高いんですね。
西川:
そうですね。船舶用のエンジンの場合、弊社のエンジンは韓国、中国製と比べたら安くはないですが、性能、耐久性で信頼を得ていますし、たとえ初期費用が高くても、性能・燃費が良く、故障が少ないため「ヤンマーを買ってよかった」と言っていただけることが多いですね。
奥林:
海外需要が高まると、それだけ海外へ転勤される人も増えると思いますが、国内の転勤との違いはあるのでしょうか?
西川:
15年ほど前までは、海外へ出向する場合には壮行パーティーを行うこともありましたが、今はそこまでやりません。海外出張があっても、東南アジアへ2、3日、ちょっと行ってくるという感覚です。
奥林:
それだけ、海外への出向や出張が珍しくなくなってきているんですね。それでは西川さんが考える、これからのグローバル人材のカタチを教えてください。
西川:
地産地消の考え方で、やはり消費地に近い場所で生産を行うのがコスト的にも、お客様のニーズにも合うのでしょうね。例えば、日本で製造した農業機械を他国で使うとなると、土地の条件が違ってきますし、購買にしても生産にしても販売拠点にしても現地で行なう方がメリットはでてきますよね。
奥林:
大阪国際大学のグローバルビジネス学部では、全員が海外留学や海外研修に参加する予定です。学生の間に海外を経験することについて、どう思われますか?
西川:
総務でも英語に携わる仕事がありますし、英文が得意だと他の部署から声が掛かることもあるはずです。活躍の場が明らかに広がると思いますよ。また、以前私の部署に中国から1人研修生が来ていたのですが、仕事のない日は十分なフォローができませんよね。それで心配をしていると、同じ部署で留学経験のある社員が、京都や奈良へ連れて行ってくれたんです。外国人とも対等に付き合える力が備わっていれば、仕事もより楽しくなると思います。
奥林:
ヤンマーでグローバルに活躍するには、他にどのような業務があるのでしょうか?
西川:
現地法人へ行って、専門性を発揮したり経営管理をしたりなどですね。日本国内にいながら、海外の顧客の相手をするという仕事もありますよ。
奥林:
海外経験というのは、海外へ行く人だけに求められるものではないんですね。それでは、西川さんの仕事のやりがいについて教えてください。
西川:
私の場合、グローバル人材の育成が使命としてあるのですが、海外勤務を通じて社員が成長することに大きな喜びを感じますね。
奥林:
本日は、貴重なお話をありがとうございました。